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今回は、レッド・ツェッペリンに強く影響されたという沢尻エリカのアーティスト名義「ERIKA」を中心に、「mihimaru GT」「YUKI」と女性ボーカル3組の新曲をメタル斬りします。
なお12月4日発売の08年1月号(表紙・新垣結衣)では、「MEG」とそのプロデューサーで「Perfume」も手がける「中田ヤスタカ」、「電気グルーヴ」「倉木麻衣」を分析しています。こちらもどうぞ。
“別人格”という設定のERIKA名義でアーティスト活動している女優・沢尻エリカの新曲『Destination Nowher』を聴きました。
ERIKAはレッド・ツェッペリンに影響されて音楽を始めたっていう触れ込みらしいじゃん(笑)。そういう遊び心自体は面白い。だけど残念ながら、この曲から感じられるツェッペリン色はゼロでした。
ツェッペリンはブルースを軸に、音圧をパワーアップさせたサウンドが特徴のハードロックです。だけどERIKAの曲はメロディーもアレンジもブルース色は皆無で、歌謡曲そのものだからね。
日本って何でも大げさにする傾向があって、例えば「日本通の外国人」という人がいたとしても、実は「1回だけ来日したことがある」「1回だけアイ・ライク・ジャパンと発言したことがある」程度ってことも多いじゃん(笑)。
ERIKAもツェッペリンの存在感に影響されたというのならまだ理解できるけど、サウンドに影響されたとするのであれば大げさ過ぎるかな(笑)。
ERIKA
『Destination Nowher』
ドラマ『モップガール』主題歌。「本人がディレクションしたというジャケットは最高にクールじゃん。ジャケ買いしちゃいそう。僕の作品のジャケットディレクションもお願いしたいくらい」。
ただ面白いところもあって、Aメロとサビのボーカルのメロディーは、何千曲以上のJ-POPに使われているありがちなコード進行なんだけど、ギターで主旋律とは違うカウンターメロディー(オブリガード)を重ねているから、新鮮に聴こえることです。
あとハーフだからかどうかは分からないけど、普通のJ-POPの女性シンガーよりも丸い発音はちょっとだけ洋楽っぽいといえるかもしれません。
全体的なサウンドは、ツェッペリンというよりはU2に近いかな。ツェッペリンのギタリストであるジミー・ペイジみたいな骨太なサウンドというよりは、U2のエッヂのギターみたいなキラキラした壮大な感じのサウンドだし、オブリガードの使い方もエッヂっぽいじゃん。
アメリカ・ワシントンDC出身。世界でアルバム1000万枚を売り上げたメガデスの全盛期のギタリスト。J-POPに造詣が深く、日本語も堪能。現在は東京を拠点に、音楽活動のほか雑誌やテレビで活躍中。日経エンタテインメント!の連載「J-POPメタル斬り」も大好評。公式ページは英語版と日本語版がある。2007年春のヨーロッパツアーを収録したライブCDと、5月の日本公演を収録したライブDVDが発売中。プロデュースに参加した北出菜奈のシングルコレクションアルバム『Berry Berry SINGLES』が11月14日に発売。